光が射している。ライブハウスはたいてい夜の世界に閉ざされているのに、そのセレモニーの会場では光が射している。光は柔らかい。そんなふうにして coffee を体感するための空間が生まれる。登場人物はいまや5人いる。その「覚醒」の液体をセレモニーに参加する人々にふるまうために現われたのが鈴木雄介で、不思議な名前をした器具を使ってコーヒーを淹れた。それから最初の3人の登場人物のためにチームのTシャツを手製してきた近藤恵介が、そこに自ら描いた「覚醒」のカップに、その場で筆によってコーヒーを淹れた。会場には光が射しているけれども光がいったい何色をしているのか、じつはわからない。午後の色彩なのは明らかだ。しかしコーヒーがいったい何色をしているのかは、誰もがわかる。最初の3人が順番に、淹れられていたコーヒーから何かを抽き出す。まずはトラックがある。トラックは音の coffee カップだ。それは世界にむけて伸びる目に見えないプラグだ。歌がある。歌は coffee にちりばめられた粒々のフレーバーだ。朗読がある。それは coffee を飲み込んだ肉体の、あるいはミルを回している両腕からのと等しい力だ。この最初の3人が乾杯するとき、カップは鳴らない。しかし、たしかに在った音色がひたすら光の内側に浮かんでいる。そして色彩がないはずの中空に、静かにしるしが滲む。ブラックホール。

古川日出男 小島ケイタニーラブ 近藤恵介 鈴木雄介 蓮沼執太